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2012年12月10日 (月)

日本の雇用と労働法

 大学のテキストとしても使われているようですが、明治期から戦前、戦中、戦後と、歴史を追って日本の雇用システムと労働法制の変遷を解説し、いかに現在の日本の雇用・労働環境が形づくられてきたかを概観できます。日本型雇用システムの特徴といわれるのは、いうまでもなく終身雇用、年功序列、企業別労働組合です。その本質は「職務(ジョブ)の定めのない雇用契約」、言い換えると「パートナーシップ型雇用契約」から導き出されてきたというわけです。雇用契約に優先する就業規則、新規学卒者定期採用制、定年制、定期人事異動、企業内教育訓練、職能資格制度等々、いずれもパートナーシップ型であることから要請されてきたものだということです。
 当然ながら、これらは日本の産業社会の進展とともに形成されてきたもので、また、大企業と中小企業では異なる経緯をたどったこと。このことを理解していないと、たとえば労働運動史を理解するにしても、戦前・戦中の運動に対する認識に錯誤が出るように思います。
 それはともかくとして、「パートナーシップ型」の日本に対して、欧米ほかアジアを含む諸外国では、「ジョブ型契約」が基本というわけです。つまり、一つの職務に就くことを前提にした雇用契約です。これを理解せずに、欧米のシステムを無批判に採り入れようとすると、ひところの成果主義のような軋轢が起こるのでしょう。日本企業が海外進出する際にもその違いに面食らう企業もあるのではないでしょうか。一方で、労働法制は日本でも「ジョブ型」を指向してきたのは、法令で明らかですが、それをパートナーシップ型契約と折り合いをつけてきたのが判例法理というわけです。たとえば、解雇権濫用法理などはパートナーシップ型契約だから産み出されるというわけです。
 ところが昨今、非正規雇用の増加、労働組合組織率の逓減、個別的労働紛争解決システムの形成など、日本型雇用システムが動揺し、労働法制も変化してきています。そこに労働組合がいかに関わるか、労働組合にかかる期待も大きいといえるでしょう。
 読者諸兄には釈迦に説法かもしれませんけど、ご紹介まで…。

(記)虚無似他利庵

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